また間が空いてしまいました。
とにかく忙しい。インタビューとそれのふりかえりだけで一日が終わっているという感じです。
では、トロント時間の昨日からの動きを、食べ物とともに。
10月3日
朝はいつものようにベーグルと食パンにクリームチーズとブルーベリージャムをのせて食べました。
そして、ICSへ。
その日の朝はICSで、教育実習生にインタビューしたのです。
その人は、教育実習2年目の院生でLisaさんといいます。
彼女に2年間実習のプログラムの内容をいろいろ聞きました。
彼女は1時間もさいてくれ私たちの質問に一つ一つ丁寧答えてくれました。
そのインタビューでだいたい2年実習のようすがだいたいわかってきました。
以前このHPで書いた教師教育プログラムは1年間のものでしたね。
今回インタビューした院生が属しているのは2年プログラムの教育部門です。
その2年間の予定は次のようになっています。
9月 教育プログラム開始。いきなり6週間の観察実習。空き時間は大学で講義(1コマ3時間の授業を週に三つ取る。ちなみに観察実習は1日実習が2日と半日実習が3日)
10月半ば 1週間だけ休みがあって 上の日程を再び繰り返す。
12月おわり〜1月はじめ クリスマス&正月休暇
1月はじめ〜2月 上の日程を三度繰り返す。
2月半ば 1週間休み
2月半ば〜4月はじめ 上の日程を4たび繰り返す。
つまり、1年生(といっても大学を卒業した人であることは以前書いたとおり)は24週間の観察実習があるのです!!そして観察実習しながら週に9時間の授業を受けるのです。
そして、こんなハードな時期の後は、なんと、4月はじめから8月おわりまでの5ヶ月弱は夏休み!!
この間に、夏の特別授業をオプションにとる学生もいれば、働く学生もいるそうです。なにしろ1年間で60万近く授業料がかかりますからね。
そして2年目。9月から4ヶ月の本格的な実習が始まります。今度は実際に授業をするのです。あとの4ヶ月を観察実習と大学の授業を受けることになります。
そして4月に全てが終わった後、学生たちは教育委員会に登録をし、空きが出た学校に自分で応募して就職していくのです。
すごいですね。こんなに自習があるとは。
ところが、このようなプログラムを取れるのは1年間でわずか40人しかありません。ほとんどの学生は前に紹介した1年プログラムで教員免許を取るのです。
こうしてみると、1年プログラムはあわただしいし表面的な感じがしてきますね。
カナダはいいなすごいな、と思ってリサーチをはじめましたが、だんだん、裏側が見えてきます。
先に紹介した1年プログラムではやはり教師の力量に問題がある場合もあり、採用もなかなかないんだそうです。
こんなプログラムを経験しているLisaさんですが、就職はなんと香港で考えているとのこと。彼女は香港の高校を卒業しており、日本にも来たことがある方だったのです。
カナダにいると、ここに世界の全てがある気がします。
アメリカとちがい、ここはそれぞれの文化が大変尊重され、自分が外国人であることを意識しなくなってきます。
とても楽なのです。
最初英語が通じないことにとてもどきどきしましたが、ここにいる多くの人は英語が適当だし、しゃべれない人もたくさんいます。
そんなことで相手を下に見ることはまったくありません。
「私たちはアメリカとちがう」
カナダの人はよくいいます。ここは文化をまぜて一つにしようとしていない。モザイクです。
アメリカには、アメリカ文化しかないのと違う、と言うのです。
これはとてもすばらしいことですが、そのことの弱点もあるというカナダ人もいます。
今日(4日)別の男子実習生にインタビューしました。
彼は、こういいました。
「大学の討論の授業は時間の無駄だと思う。」
「え?なぜ?」
「だれもふみこんだ発言をしない。みんな相手に踏み込むことを恐れている。私は他の民族の文化をしらない。だから知りたい。でもなにも知らないから質問ができない。質問することは相手に失礼な気がするからだ。そんな精神がカナダ人に流れていて、この場がスムーズに流れればいい、波風を起こしたくない、と思っている。それでは難しい問題を解決できない。みんな表面的なことを語り合っているだけでは、なんにもならない!」
これ、日本人が行ったのではありません。カナダ人が言っているのです。
相手の文化への尊重、相手への信頼 でもそれが、時には、相手にふみこまないでおこうという事なかれ主義になるらしいのです。
日本人とは少し事情が違うのですが、カナダ人もとても臆病です。
ICSの子どもたちはとても活発に話し合います。だけど、外部から来た私たちにはあまり関心を示しません。
と、思っていました。彼ら彼女らは関心を示さないのではないのです。彼ら彼女らは、恐れているのです。躊躇していうるのです。その証拠に私たちがはなしかけ少し仲良くなるととたんに変わります。彼ら彼女らは、大丈夫かどうかじっと見ているのです。
そして、公立学校では、内部での話し合いすらむずかしいといいます。つまり、相手を気にしすぎるのです。ICSは、実はそのようなカナダの子どもたちを変えようとする学校でもあったのです。
カナダはすみやすい。でもそれは、みんなががんばってそうしているのです。
強大なアメリカの影響にありながら、それとは違うコンセプトの国を作ろうとしてる。ほっておいたらばらばらになる文化や民族をなんとか「一つ」にしないで、まとめようとする。
これは、大変なことなのです。
だから、相手をじっと見る。(もちろん本当には見ません。気配で見ています)
この国で教育すること、先生を育てることは、どれほど重要か、身にしみてわかってきだしました。
昨日は実習生へのインタビューのあとは、校長先生と、この学校に影響力をもつ大学の教授にインタビュー、今日は、私たちがずっと追いかけているICSのリチャード先生の授業をみたあと、彼へのインタビューを行いました。
去年も聞いた、校長先生の言葉「safe」
この意味がぐさりと胸につきささりました。
誰もがなんとなく相手に遠慮しながらいる国カナダからこそ、なんでもいえる空間をつくるために「safe」な環境を作ることが大切なのでした。
その他、いいことばかりと思っていた教員養成プログラムにも、教科の学習が少ないとかいろいろ問題があることがわかってきました。
日本がよくわからないまま4年間ふわっと教育のことを勉強して、最後の最後で実習に行って、ああやっぱり教師になろう、というやりかたも悪くはないなと思えるようになってきました。
かといって日本がすべていいとは全く思えませんが。
いいところをお互いに学び合いたいです。
では、最後に食べ物を。
昨日のお昼は、スーパーで買った、サーモン巻き。脂がのっていてうまいが、600円と高い。
夜は、通訳の方もいれて、ベトナム料理屋。前にも行ったところです。みんなでフォー3品とチャーハンと生春巻きを食べました。
今日の朝はいつものとおり。昼は、これも通訳の方おすすめのイタリア料理屋。3人でそれぞれ具だくさんのスープをとり、あとは前菜の盛り合わせですませました。でも量は結構ありました。一人1500円。
そして、夜。
今日は宿で長逗留の、例のおばちゃん先生と美人のナースが、なんとビーフシチューを作ってくれました。他には、アスパラの炒め物、トマトサラダ、野菜サラダ。ビーフシチューには、大きな肉とジャガイモがごろり。そして、ごはん。
ああ幸せ・・・・てな気分で今ブログを書いています。
明日は、リサーチ最終日。
そろそろ帰りたい。
でも。
ここを離れたくない気持ちに、今、はじめて、じょじょに、なりつつあります。
これは。
驚きです。
近い内に、ここにまた戻ってきそうな気が、
します・・・・・
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